来客

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個室に入ると、木目調の机と椅子が一組部屋の中央に置いてあり、その後ろには鳩時計だろうか•••扉の付いた時計が掛かっている。 「それではお掛けになって少々お待ち下さい。」 そう言い残し部屋に残された俺は椅子に座るがメニューらしき物は見当たらない。 静寂が包み込む部屋に段々と気味が悪くなってくる。 しばらく待たされたが、一向に戻ってくる気配がない。 「バカバカしい。帰ろう。」 立ち上がり部屋を出ようとドアを開けると、老紳士がそこに立っていた。 「ひっ!!」 変な声を出して驚いた俺に対して、老紳士は眉一つ動かさない。 そのまま俺を無視して部屋に入り、手に持っていた物を中央にある机に置いた。 「お待たせ致しました。懐かしの味で御座います。」 そう言って一礼をする老紳士。 俺が席に着くのを待っているのか、机の横から動こうとしない。 渋々と席に座り、机に置いた物を覗き込むと、そこには高そうな皿の上に乗せられたスプーン。 そのひと匙のスプーンには、透き通った水の様なスープなのか?表面張力で今にも溢れそうなくらい(そそ)がれていた。 なんだこれ!?前菜のスープか?まさかここって高級なコース料理店なのか? 騙された!!手持ちそんなにないぞ?
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