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「じゃあ別にいいやん!夢ってさ、絶対叶うようなモノだったら夢じゃないじゃん?叶うかわかんないけど、必死になって追いかけられるモノが夢だと思うんだよなー」
宇佐美•••。そうだよな。俺は何言ってんだ。
俺だってこの時は本気で夢とボールを追っかけてたじゃないか!!社会人になってパチンコ玉なんて追っかけて腐っちまった。
「宇佐美•••ありがとな。」
「なんだよ。急に気持ちわりー」
「絶対選手権行こうなってことだよ!!」
輝かしい過去の自分が確かにここにはあった。
ーーーーーー
「お帰りなさいませ。」
気がつくと老紳士が横に立っており、元の部屋へと戻っていた。後ろの鳩時計が0時を指して、鳴いている。
戻ってきたのか•••。
「ここは過去に戻れるお店なんですね。」
「左様で御座います。」
やっぱりそうなのか。俺は確かに過去に戻ったんだ。
「あ、あの!また来てもいいですか!?」
「残念ながら、お一人様一度限りとさせて頂きます。」
「そうなんですね•••」
残念な表情を浮かべると老紳士は言葉を続けた。
「それに過去はいくら戻ろうと変わる事はありません。変えられるのは今の貴方だけですよ?」
そう言って微笑む老紳士。
不思議な体験をした今日という日を忘れないだろう。
最後に俺は老紳士の名前を聞いた。
「はい。私トキと申します。またご縁がありましたらどこかで•••」
この日以降、俺は仕事を辞めて必死に勉強して教員免許を取り、サッカー部の顧問として教える立場へとなった。また夢を追う日々だ。
そして、選手権大会で宇佐美と監督として顔を合わせるのは、まだ先のお話•••。
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