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恋の味
私は梨花。つい最近大学を卒業して、彼氏と同棲を始めたんだけど、喧嘩ばかりしてもう別れる寸前。
今日だって、仕事前に作ってあげたお弁当に手をつけず帰ってきて•••ほとんど冷凍食品だけどムカつく!!
そんな事があって、今こうして家を飛び出してきたんだけど、こんな夜遅くだとお店なんかどこも閉まってるし、どうしよ。
夜道を歩いていると、携帯の着信音が鳴る。
うわっ!彼からだ•••電源切っとこ。
あれ?ここどこだろ。知らないうちに変な道に入っちゃったな。戻ろう。
そう思った時、その道の先に明かりで照らされた店が一軒あるのを見つけた。
こんな夜遅くやってる所あるんだ!ラッキー!
寒いし、あそこで時間潰す事にしよ!
明かりにつられるよう店の前に立つと、異様な外観に目を奪われた。
なにこれ?センスないなぁ。
てか、なんの店だろ?
提灯に”かこや”とだけ書いてある。
少し躊躇いながらも、扉を開けると、私が入ってくるのを分かっていたのか、おじいさんがそこには立っていた。
「いらっしゃいませ。当店を経営しています。トキで御座います。」
店構えとは反対に、礼儀正しく一礼をするおじいさん。
「あ、あの、ここはなんのお店なんですか?」
「はい。それではこちらへ案内致します。」
聞こえていなかったのかな?
無視をされ、奥の部屋へと誘導された。
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