恋の味

1/5
前へ
/24ページ
次へ

恋の味

私は梨花(りか)。つい最近大学を卒業して、彼氏と同棲を始めたんだけど、喧嘩ばかりしてもう別れる寸前。 今日だって、仕事前に作ってあげたお弁当に手をつけず帰ってきて•••ほとんど冷凍食品だけどムカつく!! そんな事があって、今こうして家を飛び出してきたんだけど、こんな夜遅くだとお店なんかどこも閉まってるし、どうしよ。 夜道を歩いていると、携帯の着信音が鳴る。 うわっ!彼からだ•••電源切っとこ。 あれ?ここどこだろ。知らないうちに変な道に入っちゃったな。戻ろう。 そう思った時、その道の先に明かりで照らされた店が一軒あるのを見つけた。 こんな夜遅くやってる所あるんだ!ラッキー! 寒いし、あそこで時間潰す事にしよ! 明かりにつられるよう店の前に立つと、異様な外観に目を奪われた。 なにこれ?センスないなぁ。 てか、なんの店だろ? 提灯に”かこや”とだけ書いてある。 少し躊躇(ためら)いながらも、扉を開けると、私が入ってくるのを分かっていたのか、おじいさんがそこには立っていた。 「いらっしゃいませ。当店を経営しています。トキで御座います。」 店構えとは反対に、礼儀正しく一礼をするおじいさん。 「あ、あの、ここはなんのお店なんですか?」 「はい。それではこちらへ案内致します。」 聞こえていなかったのかな? 無視をされ、奥の部屋へと誘導された。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加