恋の味

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言われるがままについて来てしまったが、奥に何があるんだろう。 漫画喫茶とかなのかな? 案内された一室には、机と椅子が部屋の中心にあるだけで、目新しいものは特にはなかった。 「それでは、席で少々お待ちください。」 そう言い残し、おじいさんは部屋を出て行ってしまった。 椅子に座り、特にする事もないので携帯に電源を入れると、彼からの着信が溜まっていた。 彼とは、今何も話したくない。同棲をして、距離は近くなったのに、心は離れていくばかりに感じる。 ふと壁に掛かっている鳩時計に目をやると、長針も短針も真上を指して全く動いていなかった。 「なにあれ。壊れてるじゃん。」 それにしても、部屋は物音一つしない異様な静けさで、段々と不気味に感じてくる。 おじいさん待っててくれって言ったけど、遅いなぁ。 しばらくすると扉が開き、おじいさんは手に皿を乗せていた。 目の前に置かれた皿の上にはスプーンが乗っており、スプーンには透明な液体が並々注がれている。 「なんですかこれ?」 「はい。こちらキッカケに御座います。」 キッカケ?聞いた事ないけど料理なのかな? 皿とスプーンって事は食べられるんだろうけど•••。 おじいさんは机の横に立ったまま、こちらを見ている。
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