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私にはお母さんがいない。
幼稚園に通っていた頃、お母さんがお迎えに来る友達が羨ましかった。私は送迎バスの車窓から友達に手を振る。
学校の授業参観。後ろを振り向いても、そこにいるのはクラスメイトのお母さんやお父さん。後ろから暖かく見守られるってどんな気持ちなんだろう。
母の日は、私には特別でも何でも無い日。
カーネーションはただの綺麗な花。
幼い頃、母は私を守って死んだ。交通事故だった。お金持ちのお爺さんの暴走した高級車が私の母をこの世から消した。
母の腕の中に抱かれていた私は、命の恩人の面影すらも記憶にない。
遺影はあってもそれはただの写真であって、私は母という存在の実感を知らない。
お母さんて、何?
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