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大人の階段
大学へ進学しても私の気持ちは変わらなかった。ただ、会えない時間が多過ぎて想いは募るばかりだった。
大学では友人が出来たし、同級生や先輩から告白される事もあった。
でも、私は今も変わらず先生が大好きだ。
自分の事で精一杯過ぎて、他人に構ってられない。
「試しに付き合って」とか「俺の事をよく知れば付き合いたくなる」なんて言われても、心を揺さぶる程ではなかった。
私は、先生しか見えないから。
時間が出来ると高校へ行き、先生の所へ向かった。
最初はまた来たのかっていう顔をされたが、最近では待ってたかのような態度に変化した。
そんな些細な変化さえも嬉しい喜びだった。
「北川先生、大学には先生みたいな良い男がいない。スタートラインに立てたよね?」
「あのなぁ、まだ大学行ったくらいで世間を知った気になるなよ。」
「私は世間を知らずのまま、先生の元へ嫁いでもいいよ?」
「教師の給料なんてたかが知れてるから、エリートでも捕まえて結婚しろ。」
「共働きでいいよ。専業主婦にはならないし。」
「そうじゃなくて…。」
「めげない!諦めない!」
「城田のそういう姿勢は好きだよ。」
「好き⁉︎」
「諦めない姿勢が好きだって言ったんだ!」
先生は溜息混じりに言うと、「駅まで一緒に帰るか」と誘ってくれた。
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