大人の階段

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私は先生に顔を近づけて言った。 「先生、私も大人よ。」 「はいはい。それじゃまたな。」 私の頭を掴んで、引き剥がした。 その日の私はスキップで家路に着いた。 やっと、少しだけ私の気持ちが届いたように思えたから。 連絡先を交換した日から、何でもメッセージを入れた。 大学の事、アルバイトの事。 先生は根が真面目なのか、きっちりと返信をしてくれた。 「くだらない」とか「こんな事で連絡するな」とか書いた後には、必ずアドバイスをしてくれた。 たまに高校へ押しかけては、面倒くさそうな顔をされたり。 大学3年になり、就職活動が始まった。 その頃から、以前のようには高校へ押しかける事が出来なくなった。 それでも連絡だけはちゃんとしていた。 先生からのアドバイスは具体的で、私の就職活動に大いに役立った。 先生に会いたいとデートに誘ってみても、「学校にいるから時間が空いたら来い」と返信してきた。 その返事にガッカリしつつも、学校へ行って変わらない関係に更に落ち込んだ。 大学へ行っても20歳を超えても、教師と生徒の関係は変わらなかった。 それでも、変わらずに先生が好き。
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