シンデレラはガラスの靴を置いて。

序章 家、燃えました。

よく、【20代はあっという間に過ぎるよ】なんて言うけれど……本当にその通りだった。

私の名前は秋山要(あきやまかなめ)。全国展開するリサイクルショップのバイト上がり副店長をしている。今年31になったけど生活も環境も何も変わらない。変わったのは心境だけ。

20代の時は漠然と30までに結婚したいって思ってた。結婚して子供を生んで人並みの幸せを噛み締めたいって。

でも、29の時に結婚話まで出ていた彼氏にあっけなく捨てられてそれからの2年、自分なりに頑張って婚活したけれど全く上手くいかず……。
焦りと元々無いに等しいプライドもズタズタになった結果、

【私、何で結婚したいんだろう？】
【元々子供も絶対欲しいって訳じゃなかったのに】
【なんで？】

なんで？の答えに行き着くまで2年も時間がかかった。

「……」

私は、結婚したかった訳じゃない。
ただただ……寂しかっただけだってようやく気付いた。

そしたらもう、31になってた。

結婚は諦めてない。だけど、そういうのはもう自然の成り行きに任せる事にした。