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「……どゆこと?」
坂島の目が点になるのは仕方なかった。
現代世界で暮らす人々が行っているすべて創作行為……それらはすべて、実際にあった事物を復元しているに過ぎない――と、アマテラスは言っている。
つまりは……ヒトが持つ〝想像性〟の否定である。
「キミ、『パンドラ』を知ってるよね?」
「え? あぁもちろん」
「じゃあさ、あの子の力で現れたKMAって、なんだと思う? たとえばワイバーンとかのモンスターとか、神とか、異世界とか、魔法だとか、とにかく、キミたちの世界の〝創作物〟のみにしかないと思われていたものの〝正体〟って……なんだと思う?」
「……!?」
アマテラスの問われ、すこし考えた坂島がすぐに導き出した答えは、彼の度肝を抜いた。
「まさか……」
今まで坂島が見てきた『神』を含むKMAや、異世界という〝概念〟や、オピオーンのような『機神』なども……それらは確かに奇想天外であったし、驚かされるものばかりだった。
しかし、既知であった。
ヘパイストスもアテナもテュポーンもヒュドラもオピオーンも……枚挙に暇のないありとあらゆるものは、すべて――大昔の『神話』と現代の『漫画』・『小説』・『ゲーム』などの〝創作物〟で目にする名前だ。
実物と多少の差異はあろうとも、その『名前』だけはすべて、寸分たがわぬ既知である。
今まで大きすぎて見えなかった疑問が、ふとした瞬間に首をもたげ、その威容をさらしてきたかのような……巨大すぎる謎が坂島の目の前に現れた。
「……マジか、そういうことか。『KMA』も『異能力』も『神』も『異世界』も実際にあったもので――『人間』はそういうのを漫画とかアニメとかゲームで……〝復元〟してて、パンドラちゃんの力はそいつらを実体化してるのか」
「そう。『パンドラ』の力はね、キミたち『人間』が、自らの〝遺伝子〟に刻まれた『記憶』を掘り起こしたものを具現化してるっつーこと」
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