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だから、「グルルアっ」とうなった魔物が、巨大化して大きくなった。
人間を丸呑みするような大きさになったその魔物が、大きな口をあける。
元婚約者は恐怖で耐え切れなかったようだ。
「ぎゃぁぁぁぁ!」と叫んで気絶した。
白目をむいて泡を吹いている。
私は良い気味だったので、その姿を写真にとった。餞別にと、後輩聖女がくれた品物で。
ありがたく利用させてもらいました。
よし、後日町でこの写真をばらまこう。
うん、すっきりした。
私は、部屋の外で待機していた人物に声をかける。
「ありがとう。こんな個人的な事に協力してくれて」
「いいえ。俺にとっても他人事ではありませんから」
その人物はずっとお世話になっていた騎士だ。
彼も、私と同じように国を出て、この国にやってきていたのだ。
帰郷したその日に、お屋敷を尋ねて来たお客さんでもある。
別れの時に、彼ならば大丈夫だろうと思って故郷の家の事を教えていたから、ここまでたどり着けたとか。
それで、先日ばったり再会。
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