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そして、聖女は再び争い合う二つの種族の前に降り立った。
かつて聖女だった女神は、死してなお、二つの種族に言葉をつくして、争いをやめさせようと手をつくそうとしたのだった。
人と人は分かり合えると、信じつづけながら。
しかし、二つの種族は互いを滅ぼすまで戦いをやめなかった。
最後の生き残りが共に相打ちになるまで、聖女の言葉はどこにも通じることがなかった。
聖女は理解できなかった。
なぜ、分かり合えるはずの者達が、そこまで至らなかったのか。
たとえ、
二つの種族は、相手の力を奪う事でしか生きられないとしても。
二つの種族は、互いの言葉を理解する事ができないとしても。
それでも人と人は分かり合えるものだと、そう信じていたからだ。
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