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01
ある国に、聖女がいた。
その人物は、人と人は分かり合えると、そう信じて疑わない聖女だった。
彼女は純粋だった。
だから、聖女になれたのかもしれない。
しかし、それが皮肉な結果を生むことになる。
二つの争い合う種族を仲裁するために、聖女はとある場所に赴いた。
争いをやめるよう、説得するためだ。
しかし、聖女の言葉は聞き入れられない。
やがて、聖女は争いにまきこまれて、命を落とした。
しかし、生前の行いが評価されて、女神となった。
そのかつて聖女だった女神は、死してなお、二つの種族に言葉をつくして、争いをやめさせようと手をつくした。
人と人は分かり合えると、信じて。
しかし、二つの種族は互いを滅ぼすまで戦いをやめなかった。
聖女は分からなかった。
どうして、分かり合えるはずの者達が、そこまで至らなかったのか。
二つの種族は、相手の力を奪う事でしか生きられない。
二つの種族は、互いの言葉を理解する事ができない。
けれど、それでも、聖女は分かり合えると信じていたからだ。
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