0人が本棚に入れています
本棚に追加
01
その男は凄腕の剣士だ。
剣の扱いで、右に出る者はいない。
だから、図にのっていた。
他の剣士に指図をして、困らせていた。
困ってはいるが、他の者達は逆らえない。
なくなく、金をあげたり、食い物を差し出したりしていた。
しかし、剣士は満たされない。
それは、他の剣士も同じだった。
その世界の剣士たちは、みな職に困っていた。
数年前は、戦で仕事がたくさんあったが、今は平和になっていたからだ。
だから、その剣士はいった。
戦がないなら、起こせばいい。
指図された剣士たちは、仕方なく戦をおこすことにした。
村や町を襲って、略奪。
近くの国がいがみ合うように、互いの国の仕業だと偽装した。
最初は仕方なくだったが、剣士たちは徐々に自ら騒動を起こすようになった。
彼等の目論見は成功して、戦は起こった。
剣士は大喜びした。
剣を持って、活躍した剣士は、やがて一つの国の英雄となる。
そして、もう一つの国は滅んだ。
戦に勝った国の人々は、その英雄の過去を知らない。
最初のコメントを投稿しよう!