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「お兄ちゃん、今、何処?」
電車から降車してホームとホームを繋いでいる地下通路に通じる階段を降りようとした時、スマホに二卵性双生児の妹からメールが届いた。
自分の居場所を書いてないって事は、改札口から見える所に居るんだろうな。
改札口を通る前に駅舎の中を見渡すと、妹が駅舎の出入り口の前でキョロキョロしているのが見えた。
電車を降りた時は気が付かなかったけど雨が降っているようだ。
後ろから近づき妹の頭を平手でペシと叩く。
「キャ」って小さく悲鳴を上げながら振り返った妹は、兄の僕でさえ見とれる程の美少女。
母さんの遺伝子をたっぷり受け継いでいるからなんだろうな。
翻って僕は親父の遺伝子をたっぷり受け継いだモブ顔。
「お目当ては僕の傘か?」
「流石お兄ちゃん、よくお分かりで」
「朝、家を出るとき傘持ってなかったか?」
「学校出るとき降ってなかったから、学校に置いてきた」
「ハァー…………」
僕たちの脇を通り過ぎて行く人たちの中の男性は皆、僕を苦々しい目で睨みつけていく。
僕たちをカッブルだと思ってのことだろうけど。
妹の性格を知る同じ学校の生徒たちが見せる同情の目が救いだ。
僕と妹は外見だけで無く性格も正反対。
真面目な僕に対してガサツで面倒くさがりで自分勝手な妹。
今だって僕が持つ傘を強引に自分の方へ傾け、僕の身体の大部分が濡れるのを見ても平気な顔をしている女が妹なんだぞ。
引き取ってくれるなら熨斗をつけて送り出したいくらいだ。
因みに学校の男共は入学したとき群がってきたけど、全員に返品されたんだよ、トホホホ…………。
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