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食堂扉に着くまであと1分。
俺は麗の左腕を解放して、
「麗」
「わかってる」
俺はポケットに手を突っ込み、イヤホンを取りだしてスマホにさした。
音楽アプリを開き、大音量で流して耳に装着して完了。
麗はいつもは机の中にあるヘッドホンをここに来る直前に反射的に机に手を突っ込んで取り出していた。そのヘッドホンで音楽をかけ、装着した所で準備完了。
扉の前まで来た。
爽やかくんとピアスくんがモサ男を真ん中にする形で扉を勢いよく開いた。
その瞬間
「きゃああああああああああ!!!!」
どこかに女子でもいるんですか???ってくらいの高音が食堂に鳴り響いた。
この声が女子のものだったら俺は飛び上がって喜んだが、残念ながら全て男だ。
俺と麗は耳を守っていたからまだ大丈夫だが、爽やかくんとピアスくんとモサ男はどうなのだろう。
爽やかくんとピアスくんはいつも慣れてるから大丈夫っぽいけど……あwも、モサ男ww
モサ男は全力で耳を抑えて震えていた。
ちょwwあんたら愛しのモサ男くんの耳心配してなかったわけ?wwwww
すると慌てた様子で爽やかくんが
「翔!大丈夫?!」と言ったあと、ボソッと忘れてたッって言ってた。
忘れてたんかいwwwwwwwww
はあ………。
俺と麗は耳を守護しながら席に着いた。
多分時間的にアレはそろそろだしな。
てか今回モサ男と食堂来るの渋ってたせいでいい席が取れなかったぜ…。はあ…。
俺が今いる席は生徒会、風紀委員会専用のコテージみたいなところへ続く階段の真側面。
階 段
|_|_|_|_|_|_|_|_
俺 麗
___________
テーブル
___________
爽やか モサ男 ピアス
くん くん
こんな感じだお。
てかモサ男、お前2人も友達いるんなら俺たちのことは放って置いてくれないか。
それかあれか。ホモォなのか。だったらヤラナイカのお兄さんにでも相手してもらえよ。
「なあ!なあ!アオバのおすすめってなんだ!?」
こいつ…俺の必殺耳守護を破くほどの声のでかさだとっ…!?
「えっ、俺?」
てかここで俺に振るのやめてくれ。
爽やかくんとピアスくんにすごい睨まれてるんだ。怖い助けて。
まあ、無難なとこでいいか。
「オムライスかなー。」
オムライスあるのか知らんけど。
「オムライスか!じゃあそれ食う!!」
えっ、他の人らには聞かないんですか??
いや、麗は絶対巻き込んでやる。
「因みに麗くんのおすすめってなぁに?♡」
俺は麗のヘッドホンをずらして聞く。
ここで来ると思っていなかったのか。麗は少し目を見開き、顔をひきつらせた。
「俺は……いつも弁当だから」
うわー!こいつ嘘ついてるーー!!
今日たまたま弁当だからって!!ずる!!
お前いつも食堂で頼んで食ってるジャン!⤴︎
俺にいつも1口くれるジャン!⤴︎
そういう優しいところ…好きよ…ポッ///
俺は誰にも聞こえない大きさで舌打ちをした。
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