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帰りのホームルーム
あれ以来モサ男は俺に話しかけてこなくなった。
とても平和に過ごせました。
次のテストやら新歓やらの話を終えたホストが「あ、そうだと」と思い出したように呟いた。
「葵羽、お前日野を寮まで案内してやれ。寮長室まででいいから。」
「え"っお、俺っすか」
「俺は去年のこと覚えてるからな。」
去年といえば俺がこの学園に入学した日の…あっ。
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「……まあ、初日だし許してやる。お前は…205号室だな。場所は…まあ、その紙に書いてあるから。荷物も部屋にあるはずだから、ほらもう帰った帰った。」
「いやーすいませんでしたー。」
「今度なにか手伝えよ。」
「あいあいさー」
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うん、こんな会話もあったな。
てかよく覚えてたなネチネチしすぎ。
「案内か…はい。」
てかいつも騒がしいモサ男がさっきからすごい静かなんだけど。
名前で呼べよ!とかホストに言わないん?
何よもう怖いじゃない。
チラッとモサ男の方を見ると、バチッと目が合ったが、すぐにそらされてしまった。
「???????」
まあ、嫌われたっぽいならいいけど。
「日野、準備終わったら言って。」
「お、おう!もう大丈夫だ!!」
「じゃあ行こ。」
寮長…俺あったことないんだよなー。でもどうせ先輩だろ?
下半身的に怖くない人だったらいいなー。
「ここが寮長室。寮のことで分からないことがあったら寮長に聞いてな。」
そう言ってインターホンを押そうとしたら、中からなにか声がした。
「ぁ……」
高い、何か切ないような声色。
…………………まあ、寮長の声だろ。
構わずインターホンを押してしばらく待つ。
3分ほど経ってもまだ出てこない。
もう1度インターホンを押し、数分待つ。
出てこねぇ。
「出てこないな!留守なんじゃないか!?」
「いやでも中から声したし。」
ピピピピンポーンって連続で押すという勇気は俺には無いのです。
まあ、とりあえずもう1回くらい押しとくか。
そう思って腕を伸ばすと扉がゆっくり開けられた。
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