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…………………どこですか、ここ。
人の波に流されてきたら知らないところに出てしまった。
いやー、いい所だなーここ。
乾燥した草が生えている地面に寝転んで、呑気にそう思った。
いつもなら寝るとこだが残念www
今日はモサ男に追いかけられても大丈夫なように早めに寝て眠気もないほどさっぱり爽快なお目目なのだ!www
杞憂だったがな!ガハハ!
はー、暇だなー。いつまでやるんだろこのお楽しみ会。
まあいいか。
そう思って俺はポケットからスマホを取りだし、ピッコ〇を開いた。
時間を潰して30分は過ぎていただろうか。
「……そういえばここからの帰り道知らねえわ」
急に現実に戻ってきた。
やべーwwとか思ってると、木陰から紙をめくるような音がした。
俺はびっくりして木陰に目をやった。
するとそこにはモサ男程ではないにしろ、毛量多めのふわっふわな髪をしている生徒が紙をこちらに向けていた。
[帰り道分からないの?]
「う、うん…」
ていうか見覚えがある。
「あ、さっき警察の場所教えてくれた人!」
何故か紙で会話をするあの人だ。
そう言うとその生徒はこくり、と頷き、ある方向を指さして別の事を書いた紙を向けた。
[ここを真っ直ぐ行けば出られるよ。]
喋れないとか耳が聞こえないとか、そういう人目印付けてるはずだが。コミュ障なんだな。
「おー!まじありがと!!恩人ですな!本当ありがとうな!」
紙を使ってまでコミュニケーションを取ろうとするその心意気は大事だとおもう。俺はまず喋ろうともしなかったからな。
よし、そんな君に敬意を表してコミュくんと呼ぶことにしよう。
まあ小学校までの話だけどね???
中学で俺のコミュ力は開花したから結構喋れるから!今は!!
[あと]
「ん?」
[携帯没収されるから、あまり使わない方がいいよ。]
ま じ か
えー使えないのかwwww
そらそうか。連携とって挟み撃ちとか嫌すぎるもんなwwww
「おっけぇい!何から何までありがとな!」
そう言って俺はスマホをポケットの奥深くへと押し込んだ。
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