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「ハーロ♪窓をあ け て♪小さくつぶーやいた♪」
俺は自分にしては可愛らしい歌を歌っていることを自覚しながら廊下を歩いていた。
「ハワユ♪だれーもーい な い、部屋ーでひとーりー♪」
そう言って俺は空き教室の扉を開け、中に入った。
「モーニン♪朝がき た よ♪土砂降りのあ さ が♪」
ここは人が近寄らない古い校舎だ。
なんかお化けが出るとかいう噂があるが、俺はおばけなんてウーソさ♪の精神なのでへっちゃなのである。
「ティークタク♪私のネジをだーれーか、まいてぇ~♪」
あと歌ってれば怖さもなくなるしね。
いや別に怖いとかじゃないけどね???
ボカロメドレーを聞いて前半だけしか覚えていない曲を歌い終え、次は何を歌おうかと記憶を遡る。
とりあえず先程の歌のとおり、窓を開けて小さく「ハロー」と呟いてみた。
はたから見たら結構いたい人かもしれない。
俺は窓の縁に手をかけ、体重を少しばかり預けてみたが
ギシィ
それだけでこんな心もとない音が鳴ったのでやめておいた。
おばけよりも怪我する方が怖いのが現実である。
窓の外には先程見たチワワとガチムチの追いかけっこ。それと、……集団?
不自然にできている集団を見かけた。
少し頭を働かせて考えると、すぐに「親衛隊」という言葉が浮かんだ。
あー、生徒会とか人気者を探してるんかね。
まあ自分には関係ないだろうと思い、俺は窓を開けたまま人生で一番最初に出会ったボカロ曲を口ずさむ。
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