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「はあ、はあ、はあ、」
少年はいつものように走った。今日はゆっくり遊べるので走る必要もなかったが、早く青年に会いたいという気持ちが少年を走らせたのだ。
やがて、直ぐに原っぱへついた。
だが青年の姿はなかった。
「はあ、はあ、モモ、来てない、かぁ、はあ」
いつもは青年の方が早くついていることが多いが、今日は特に約束もしていなかったからか少年の方が早くついた。
生えている草で船を作ったり、その辺にいる虫を観察したりして時間を潰す。
そろそろ昼食時になる頃合になった。
(遅いな、いつもはお昼前にはいるって言ってたのに。)
少年はソワソワした後、あと30分だけ待つことにした。
来なかったら自分も一旦帰ろう。そう思っていたのだ。
「…………だ……!…が……っ!!」
「ん?」
5分程たった頃、どこからか声が聞こえた。
聞いたことあるような声に、嫌な予感がした少年は声を頼りにその場所へ向かった。
いつも使っているのとは違う路地を通り、その影からこっそりと様子を伺う。
「おいそっちに逃げたぞ!」
「ちょこまかしやがってぇ!!」
「っ……!」
そこには巨漢が2人、子供が1人。
いや、子供にしては体が大きい。中学生…あたりだろうか。
巨漢が子供を追いかける。
子供は必死に逃げる。
それを見ている少年は震えた。その子供に見覚えがあったからだ。
「…………モモ…?」
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