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遂に腕を掴まれ、押し倒されてしまう青年。
「っ!」
頬を殴られ、鼻を殴られ、額を殴られ…。
(モモを助けなきゃ…!)
そう思う少年。
だが両親が富豪と言ってもいいほどの金持ちで箱入り息子として育てられた少年は…いや、少年のような歳の子供ならばみんなそうなっていただろう。恐怖と驚愕で体が固まり、動けないでいた。
無理に体を動かそうとする。
ガンッ!
「あ?」
体の制御が聞かず、狭い路地に散乱していた鉄のパイプやらに腕が当たってしまった。
派手な音が出たせいで、巨漢たちにも気づかれてしまったようだ。
(やばいやばいやばいやばい!)
「にゃぉ~…ん……」
「なんだ猫か」
咄嗟で声が震えたり裏返ったりしたが、それでも巨漢達は青年に夢中なのかさほどこちらに注目はしなかった。
今の出来事で多少緊張がほぐれたのか、少年は体を強ばらせながらも動かす。
ズボンのポケットに入っている携帯を手に取り、誰でもいいからと連絡先の1番上にいた人物にメールを送る。
ゴンッ
突如、少年は痛みに襲われた。
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