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「はっは、馬鹿だなぁ~?そんな暗い路地裏で携帯なんていじってたら嫌でも目につくわっつ~の。」
「うっ…うぅ"……」
少年はあまりの痛さに唸ることしか出来ないでいた。
目を薄く開くと赤い液体が見える。それが何かはすぐに分かり、それを見た事で余計に頭が痛くなる。
少年が唸っていると、男の1人が少年の顔を覗き込んだ。
「んん??っ!おい、こいつ……」
そう言って少年の耳をつまんでもう1人の男に顔が見えるようにした。
「い"っ……」
耳だけに体重がかかっているので、耳が千切れそうになるほどの痛みが襲う。
少年は急いで地面に手を着いた。
手を着いたところには小石やプラスチック、ガラスなどのとても小さい破片が散らばっており、少年の手の平はすぐに悲鳴をあげる事となる。
だが手を離したら耳が千切れるような思いをする。
少年はこの地獄が何時間にも思えたが、実際は1分も経過はしていない。
やがてもう1人の男が、声を上げた。
「おぉおい!!こいつっ…大山か!!?」
「ああ、この髪の色はあの家しかねぇよ!それにこの無駄に整った顔立ち!あいつの息子だろ!!」
急に耳から手を離され、手を着いていたところに顔が落ちる。
「あ"あ"っ!!!」
頬にガラス等がめり込む感覚がして、痛い。
痛い。
痛い。
痛い。
少年はそれしか考えられなかった。
すぐに比較的安全な地面に移動したが、少年の手や頬から血が流れる。
「はっ、はっ、はっ、」
少年は過呼吸にならないよう、呼吸を整えている。すると1人の男が「ああ!あんのガキっ!逃げやがったぞ!!」と叫んだ。
モモ、逃げられたんだな…。よかった。
だがすぐに少年は他のことなんて考えられなる。
「おい、こいつ、……殺すか?」
「はぁっ!?何言ってんだ!!俺は殺人なんてごめんだからな!!」
「こいつを殺して証拠隠滅すればバレねえよ」
「桃田んとこのガキが話すだろ!」
「どうせアイツの言うことなんて誰も聞きゃぁしねぇよ。」
そういうともう1人の男が、少し間を置いて「わかった」と言い、少年に近ずく。
「あっ…あ…いや、だ…。来るな、来るなぁ……!がっ…!」
少年が腕を振って男を遠ざけようとしても巨漢にとっては猫が暴れているくらいのものなのだろう。
男は少年のまだ細い首にその太い腕を伸ばし、ガバッと握ってきた。
「かっ…かはっ……」
苦しい。息が出来ない。首が潰れそうに痛い。
少年が足をばたつかせても、首を握っている手に爪を立てても、首は締められたままで、逆に少年を早く殺そうと力が強まるばかりだ。
「ちっ!おいじっとしてろ!」
少年の目からは大粒の涙が流れ、口の端からは涎が垂れた。
「汚ねぇな!!」
少年は死の恐怖を味わいながら、意識を飛ばしていった。
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