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最低。
最低?本当に?
「俺、は…最低?」
いや、違う。俺は結果的にちゃんと警察を呼んだし、俺が痛めつけられている間に逃げたのはモモじゃないか。
でも心のどこかでは、もっと早く警察を呼んでいれば…と考えてしまっている自分がいることに少年は気づいていた。
何か言いたい。だが言葉が出ない。
そんな少年を尻目に、青年は去っていった。
しばらく放心していた少年だが、不意に腕時計がピピピピッと鳴った。
「あ、お昼……。」
屋敷に帰ると、玄関には父親が立っていた。
この父親が少年の帰りを玄関の前で立って待っていたことなんてこれまで1度もない。
何も聞かれなかったが、少年は本当のことを話した。父親は、そうか…。と、それだけ言って自身の部屋へ入って行ってしまった。
今度こそ本当に失望されたかもしれない。
そんな考えが頭をよぎる。
少年は涙が零れるのを我慢して、自身の部屋へ行き、1時からの授業の準備をした。
side end
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