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大山 輝(会長)side
数年で人はここまで変わってしまうのか、と、ガラにもなく驚いた。
数年前まで俺より小さかった体は、ガタイがいいと言われる俺と同じくらいになり、邪魔だからと短く乱暴に切っていた髪を伸ばしている。顔つきも大人びていて、印象が変わった。
さっきよりも、冷静だ。
だが心臓は五月蝿いほどに鳴っている。
そんな自分を感じながら、1歩。また1歩とモモに近ずいていく。
やがてモモがすぐそばにいる距離になった。
「モモ」
「ちっ、今度は誰…だ………」
モモはこちらに振り返り、俺の顔を見て固まった。
一瞬、俺のことを覚えていてくれたのかと思ったが、モモの言葉でそれが勘違いだったとわかる。
「これはこれは、会長様ではないですか。こんな所で何をなさっているんですか?」
モモは俺があの学園の生徒会長だから驚いていたに過ぎなかった。
いや、考えたらそれが普通だ。
だがそんなことはどうでもいい。
俺は覚悟を決め、口を開く。
「俺を、覚えているか。モモ」
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