本編。

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 午後の4時頃、仕事が一段落ついた。街中は何故か浴衣姿の女性が多かった。俺は近くの喫茶店で珈琲を一杯飲みながら一休みした。  メールやLINEをチェックしたが、あれから千里と連絡が取れない。やっぱりさっきので怒っているに違いない。だが今の俺は彼女よりも仕事の方が大事だ。千里には悪いが、今は大事な取り引きがある。そこに恋愛感情は邪魔なだけだ。俺はそう自分自身に言い聞かせていた。俺は23歳で社会人。そして千里は19歳の大学生だ。俺は社会人だけどまだ未熟者だ。そんな俺は仕事が今、優先的になっている。この前も彼女との約束をすっぽかした。  別に好きですっぽかした訳じゃないけど、あの時は休みだったけど会社に呼ばれて行けなくなったんだ。千里はあのあと酷く怒っていた。「映画館、一緒に観ようって約束したじゃん! 晃彦は私より仕事の方が大事なの!?」そう言って彼女は、泣きながら責めてきた。その言葉に返す事も出来ない俺は、ただゴメンと謝るしかなかった――。  穴埋めせでその度に何回彼女との約束をすっぽかしたかはわからない。だから今回もきっと怒っているに違いない。そして、俺は思い出せない約束を必死で思い出そうと考えた。そんな時、壁にかかっていた時計が目についた。よく見ると時計は6時になっていた。俺はそこで気がつくと、飲みかけの珈琲をテーブルに置いたまま席を立って喫茶店を出て行った。
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