1. 偶然の出会い

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「あっ…幸人」 「実莉見つけた!今終わった?」 「うん、帰ろうとしたとこ」 私達の元に走ってきたこの爽やかな男の人は、長井幸人(ながいゆきと) …私の彼氏だ。 「じゃあ一緒に帰ろ!」 「あ、でも今有咲と…」 「有咲、実莉もらっていいだろ?」 「はいはい!お譲りしますよ〜彼氏君には敵いませんからね」 「え!?ちょ、ちょっと有咲!」 「いいからいいから!どうせこの後は美容院向かわなきゃだったし」 幸人は有咲と同じグラフィックデザイン科で、サッカーサークルで活躍している。 有咲と幸人が元々友達だったらしく、春の催しで2人に声をかけられてから私達は仲良くなった。 それから徐々に知り合って、幸人と付き合うことになったんだ。今は付き合って半年ぐらい。 「じゃ、実莉のことよろしくね!ばいばーい!」 「おう!またな!」 「有咲、ありがとう…また明日ね!」 小さくなる有咲の背中を見送って手を振った。 彼氏が出来たのは幸人が初めてで、慣れないことばかり。学校で幸人と会うのも少し気まずく感じてしまう。 「じゃあ実莉、帰ろ!」 「うん…行こっか…!?」 ふわっと繋がれた左手。あまりに自然すぎて一瞬触れたことも分からなかった。 「ちょ、校内なのに…!」 「いいじゃん別にー俺達付き合ってるんだし」 「…そ、そっか、そうだよね」 「実莉はそういう慣れてない所も可愛いな」 「……っ」 幸人は、いわゆる陽キャと呼ばれる人種。私は当たり前に陰の方で。周りにも、そこ2人が付き合ってるの!?って驚かれるぐらい真逆な存在。 運動ができて、爽やかで、明るくアクティブな幸人は男女問わず人気者だ。 なんでそんな人が私と付き合ってるのか…なんで告白してくれたのか、分からない部分はたまにある。 でも、人生初の告白に人生初の彼氏に…舞い上がってしまったんだと思う。 幸人は優しいし、そのままの私が好きだって言ってくれる。きっともうこんな人いないよね…。 「なぁ、今から家来ない?」 「えっ…」 「今日、バイトないだろ?家誰もいないし来いよ。帰り送るから」 「…あ、うん。じゃあ行こうかな」 そう、私は勝手に舞い上がってしまったのだ。
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