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「お邪魔します…」
「どうぞー」
幸人の家に着いてから、手を洗って部屋に上がった。家に来たのはこれで2回目。
1回目は日曜日だった。2人でご飯を食べて、幸人がゲームしているところを見て…一緒にお昼寝したりした。
それ以来は来ていなかったから、1ヶ月ぶりかな。
「座ってて、飲み物持ってくる」
「うん!ありがとう」
相変わらず、物がごちゃっとした部屋。ゴミが散らかってる訳ではないけど、ゲームやら漫画やら雑誌やらが沢山置いてある男の子の部屋って感じ。
床に置いてあった雑誌を軽く整頓しながら、ベットを背にもたれて座り込んだ。
「はい、お待たせ〜コーラでいい?」
「うん、ありがとう!」
ペットボトルを2本持って戻ってきた幸人はニコニコしててなんか嬉しそう。なにか良いことでもあったのかな。
「なんか良いことでもあった?」
「えっなんで?」
「なんか機嫌良さそうだから」
「特にないよ?久しぶりに実莉と2人っきりになれたから嬉しくて」
「……またそういうこと言って」
「本当に思ってるもん」
幸人は本当に人たらしというか、あざといというか…女の子を喜ばす術を全部知ってる感じがする。
私と違って、モテてきただろうし女の子をいっぱい知ってるんだろうね。
幸人は私の頬を撫でた後、視線を下に降ろした。
「あ、ここに絵の具ついてる」
「え…あ、本当だ」
「相変わらず、実莉は絵が好きなんだね。今日も描いてたんだ?」
「うん…ここついてるの気付かなかった、ごめんね」
「なんで謝るの?」
「だって…」
さっきから、視線の先にピカピカと光っている幸人の携帯。画面に浮び上がる通知には、女の子の名前もたくさんある。
友達だって分かってるし、やましいことがないからオープンに私の前に置いてると思うけど…
幸人の周りには可愛い子ばっかりいるんだろうなって気になってしまう。
「私…もう少しオシャレしようと思う」
「え?なんで?実莉はそのままでいいよ」
「えっ…?でも…」
「俺はTシャツに絵の具つけて、楽しそうに絵を描いてる実莉が好きだよ?」
「幸人…」
「だからオシャレなんて気にしなくていいよ」
幸人の言葉に嬉しさが込み上げる。そんな風に思ってくれてるなんて。
今まで、絵しか取り柄がない私はバカにされることが多かったけど…
そこを好きって言ってくれる人に出会えるなんて…
「ありがとう…!」
「ふふ、いいよ。ていうか、乾いてるから大丈夫そうだけど…一応Tシャツ着替える?」
「大丈夫だよ。ほんの少しだから…」
「いや、着替え貸してあげるから着替えなよ」
「えっ!ちょっ…」
その時、急に幸人の手が私のTシャツに伸びた。するりと脇腹を撫でられて、肌が露になるほどTシャツが捲れていく。
「な!なに…待って」
「え?なにが?いいじゃん、俺彼氏だよ」
「いや、あの…これは、何を…」
「彼氏だから触ってもいいでしょ?ほら脱ご?手伝ってあげるから」
いや確かに彼氏だけど…急になんでこんなことを…!幸人の手が肌に触れる度に顔から火が出そう。
「ちょ!いやぁ!やめて!」
「なんだよ、暴れんなよ(笑)」
「だって、急にこんなの…!」
「みんなしてることだよ。付き合ってたら当たり前。だから大丈夫だよ、な?」
「………っ」
「実莉のことが好きだから、触れたくなるんだよ。キスもしたいしもっと色々したい」
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