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みんなしてること…。本当に?
本当としても、体を見られるなんて恥ずかしすぎる…!
幸人とキスはしたことあるけど、それ以上はまだで…考えるだけで心臓がバクバクしてしまう。いつもキスまでが限界なのに…。
「実莉のこと好きだから…だからもっと触れたい」
「……っ」
「…だめ?」
好きだから…そうだよ。幸人はあんなに私を想ってくれてるじゃん。
可愛くもない、地味で取り柄もない、絵しかできない私のことを…こんなに…
だったら…
「…っわ、わかった」
「大丈夫、優しくするよ」
その言葉と同時に、ベッドに寝かされて幸人が上に覆い被さってきた。そして唇にそっと柔らかい感触。
「ん…」
ああ、やっぱり幸人のキスは優しい…。恥ずかしいけど、ふわふわした気持ちになる。
「……っ!?」
…と、思っていたら。
突然、胸を思い切り掴まれる感覚。それと同時に口内に思い切り舌を押し込まれた。
そのせいで全然息ができない。
「んんっ!幸人!ちょっと待って…!」
「もう待てないよ…」
「いっ!」
「はぁ…っもういれていい?」
「へっ!!?」
なんで…?幸人のこと好きなはずなのに…好きな人に触られたら嬉しいはずなのに。
なんか怖い!どこが優しいの!?
こんなの嫌だよ…!
「いっや!!」
「いだ!!!」
気付いたら幸人を思い切り突き飛ばしていたらしく、ベッドの脇に体ごと落ちている。
息を切らしながら、はだけたシャツを直して幸人の体を起こした。
「…ご、ごめん!大丈夫?」
「いったー…なにすんだよ」
「だって…なんか、あんなの…」
「彼氏の俺をそんなに嫌がるのかよ」
あんなの…なんか痛くて無理やりな感じがして、嫌悪感が募ってしまった。
「………」
「………」
しばらく沈黙が続いた後、幸人ははぁーっと長いため息を吐いて立ち上がった。
「あー、もういいよ。俺もごめんな」
「…うん、ごめん。まだ気持ちが追いつかなくて」
「分かってる、気にすんなよ」
「どこ行くの?」
「ちょっとトイレ」
そう言って部屋を出ていき、1人取り残された。さっきの状況から逃れたことに少しほっとしてしまい、テーブルの上に突っ伏す。
幸人はこんなに私のこと好きでいてくれてるんだから…体ぐらい許さないと…
そう思うのに、なんであんなに嫌だったんだろう…。
「はぁ…」
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