1. 偶然の出会い

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あれから30分は経った。幸人戻ってくるの遅いな…何してるんだろう。 「…何かあったのかな、大丈夫かな」 具合を悪くしてるのかと気になって、部屋を出てトイレの近くまで近付いた。 「ゆき……」 「あーまじでないわ、あいつ」 「!?」 大丈夫かと声をかけようとした時、中から話し声が聞こえる。 小さく話してるんだろうけど、扉の前に来れば普通に聞こえる音量。 電話してる…?だれと…? 「いやー今日こそいいと思ってゴムも用意したのにー、急に拒否ってくるのまじ無くね?」 「……!!!」 心臓がドクン…と激しく鳴り出す。だって、絶対話してるの私のことだ…。 「もうどんだけ愚痴っても足りねーよ(笑)俺がどれだけ大事にしてやったと思ってんだよ、あいつー」 これは本当に、あの優しい幸人…? どんどん冷や汗が出てくる。これ以上聞かなければいいのに、一度聞いてしまったらもうトイレの前から動くことができない。 「え?あぁ今もいる。そろそろ戻るわ。あんま長いと変に思われるし、聞かれても困るし(笑)」 既に聞いてますけど。 「うん、ありがとー。また電話するわ」 ここで立ち去って、部屋に戻って何も知らない風にしてればよかったのに。 この先のことは1番聞いちゃいけなかった。 「何言ってんだよ(笑)大好きだよ、有咲。早くお前のこと抱きてー」 「………え」 あり…さ……?
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