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あれから30分は経った。幸人戻ってくるの遅いな…何してるんだろう。
「…何かあったのかな、大丈夫かな」
具合を悪くしてるのかと気になって、部屋を出てトイレの近くまで近付いた。
「ゆき……」
「あーまじでないわ、あいつ」
「!?」
大丈夫かと声をかけようとした時、中から話し声が聞こえる。
小さく話してるんだろうけど、扉の前に来れば普通に聞こえる音量。
電話してる…?だれと…?
「いやー今日こそいいと思ってゴムも用意したのにー、急に拒否ってくるのまじ無くね?」
「……!!!」
心臓がドクン…と激しく鳴り出す。だって、絶対話してるの私のことだ…。
「もうどんだけ愚痴っても足りねーよ(笑)俺がどれだけ大事にしてやったと思ってんだよ、あいつー」
これは本当に、あの優しい幸人…?
どんどん冷や汗が出てくる。これ以上聞かなければいいのに、一度聞いてしまったらもうトイレの前から動くことができない。
「え?あぁ今もいる。そろそろ戻るわ。あんま長いと変に思われるし、聞かれても困るし(笑)」
既に聞いてますけど。
「うん、ありがとー。また電話するわ」
ここで立ち去って、部屋に戻って何も知らない風にしてればよかったのに。
この先のことは1番聞いちゃいけなかった。
「何言ってんだよ(笑)大好きだよ、有咲。早くお前のこと抱きてー」
「………え」
あり…さ……?
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