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「数年前の業界再編の動きと輸入事業提携の関係でわが社のグループ企業になりましたが、タママートは非常に優れた経営体質を誇る企業です。現在のところ二十期以上増収増益を維持しています。その物差しから言えば菱沼ホールディングスよりも優良企業と言えるでしょう。まあ、今僕が申し上げたことはすべてそこに記載してありますが」
不要な説明をわざわざさせるなと言いたげに北条怜二がテーブルの上の紙を視線で示した。
「……増収増益はわかりました。でも納得できません。私が出向になった理由を教えてください」
「では、お望みなので敢えて申し上げますが」
北条怜二は手元の紙をめくり、淡々と読み上げた。
「頭が固い。プライドが高くて使いづらい。まるで戦車。などという理由で、あなたの上司である富川チーフから配置換えの要請がありました。異動先の選定は人事部の判断です」
「…………」
まるで戦車──。
立ち上がったままだった私は勢いを削がれて椅子に腰を落とした。ここまで真っ向から人格否定されるのは子供の頃以来だ。
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