大転落~丸の内から第三世界へ

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実は二十八年間の人生、一度も男性とお付き合いしたことがない。私が選り好みしているのではなく、男性がまったく手を出してくれないのだ。 なぜ咲かずの干物なのか。思い当たる原因はいくつかある。 一つは学歴。合コンで意地の悪い友人が私の出身大学を明かしたりすると最悪だ。モーゼの海割りよろしく私の前に座る男はいない。 二つ目は外見。顔は少なくとも不細工ではないと思う。クール美女系の某女優に似ていると褒められたりもする。でも、美人だと言われても可愛いねと言われたことは一度もない。要するに、学歴と相まって可愛げがないのだ。 そこに拍車をかけるのが物干竿のような体型。開き直ってヒールの靴を履いているけれど、背が高いことは昔からずっとコンプレックスだった。さらに胸ときたらカップ付きインナーのおかげでかろうじて〝こっちが前〟とわかるものの、中身はほぼ空洞だ。 『どうしましょうね……検査しないわけにはいかないし』 先日受けた会社の健康診断では技師さんが困り果てていた。どう頑張ってもマンモで挟めない胸なんて、そうないと思う。 でも、もし私がもう少し可愛い大学を出ていて、背が低くて人並みに胸があっても、やっぱり男性は寄ってこない気もする。 普通の干物なら過去であれ現役時代があっただけまだマシだ。女を放棄しているわけでもないのに一度も食べてもらえない場合はどうすればいいのか。
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