赤っ恥婚活バトルとヘビ男の助け舟

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「参ったなぁ、今日の売上達成率はすげーぞ! ねえ、仁科さん」 「唐揚げ四キロ追加、早く!」 ホクホクしている佐藤主任の声を矢部さんの声がかき消した。 機械でスライスする牛や豚と違い、唐揚げ肉は手作業だ。切っても切っても終わりはなく、あまりの量に体力が尽きてきた。でも急がなきゃ、急がなきゃ……。 「──あっ!」 しまったと思った時には遅かった。 肉に包丁を入れた時、左手指の擦り傷を無意識に庇おうとして包丁の軌道が狂ってしまった。右手に走った鋭い痛みがズンと心臓にまで響いた気がした。 指、取れたかも──。 頭が恐怖一色になる。慄きつつ右手を見ると指は普通についていて、手袋がぱっくり切れているだけに見えた。でも胸を撫でおろしたのは数秒で、青い手袋の裂け目から真っ赤な血が溢れ出てきた。その勢いがすごい。
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