1.この世界の皆さん、なんでこんなに昭和のヤンキーなの!?

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 ナオはみんなにミドリとの出会いを語り、(ヴァルハラ)(ソード)の面々はナオの話に目を輝かせた。 「ミドリくんは突然現れ、黄金の光を放つ『運命(ファタリテエペ)の剣』でオレたちを助けてくれたんだ」 (この剣ってそんな名前なの!?)  ミドリは自分の持つ剣に視線を落とした。  重くて両手でないと抱えられない、ハッキリ言うとミドリにとっては邪魔な剣だ。 (異世界転生した人たち、こういうのをブンブン振り回しているみたいだけど、みんな実はゴリラなの?)  タッチペンより重いものを持ったことがないミドリのような人種にとっては信じられない。 「みんな、聞いてくれ!」  ナオが声を上げると、天の剣の面々が静かになり、ナオに注目した。 「オレはミドリくんと共に(デス)(キング)討伐者(ブレイカー)になる! そのために魔梨亜樹(マリアージュ)を離れて、竜炳王国(ドラッヘシュタート)の第一都市・架弩羅琉(カドラル)に行き、皇帝(カイザー)に会う!」  おおおおお、とみんながどよめく中、ミドリだけが困惑した。 (ええっ、死の王って何!? すっごい怖そうなんだけど。それに皇帝ってえらい王様だよね!? 金髪で軍服を着てて戦争にも強くてとかそういう人!?)  死の王も皇帝も本の中のイメージしかないが、平凡なミドリにとって明らかに縁遠いものなのはわかる。 「あ、あの、ナオくん……」  行くなら一人で行ってもらおうとミドリはナオに声をかけたが、ナオはミドリのほうを振り返ると、ミドリの肩を抱いた。 「大丈夫! 心配しなくても、オレがちゃんと架弩羅琉(カドラル)まで連れて行ってやるから!」 「あ……その……」  結構です、とは言えない。  ナオは親しげにしてくれるが、ミドリからすると苦手なタイプだ。  クラスの隅で本を読んでいる人間とクラスの真ん中で幅を利かせている人間くらい大きな違いがある。  ミドリは視線を逸らし、小声で答えた。 「はい……よろしくお願いします……」  断ることなどとても出来ず、ミドリの口からはそんな言葉が出た。  苦しまぎれの返事だと気づかず、ナオは明るい笑顔で答えた。 「ああ、任せとけ!」 (……どこかでこっそり逃げ出そう)  ミドリは愛想笑いでそう応じながら、うまく出来もしないことを心の中で誓うのだった。
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