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丸まった背中に、にっこり笑った目尻の数えきれないシワ、そしてゆっくりと穏やかな口調で 「明日もきっといい天気になるね」 と、声をかけられた。 何も考えたくなくてベンチに座り込んでいて、人が隣に座ってることにも気付かなかった。 隣を見るとシワシワのおばぁちゃんが座ってた。 「そうですかねー」 そう、つい言葉を返したけど、そのおばぁちゃんはそれから何を言うわけでもなくニコニコ座ってた。 でも全然イヤな感じじゃなくてむしろポカポカ日だまりのような心地よさ。 なんでだろう。ほっとするような。 私はいつの間にか落ち込んでいた気持ちがふっと少しだけ軽くなったような気がした。 気がしただけなんだけど。 そのおばぁちゃんは私をみてにっこりすると 「またね」と言って立ち上がりゆっくり歩いていった。
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