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女 「ちょっと。いい加減にしてよ!」
男 「すみません!」
男 「なんだよ、あの女、偉そうに」
女 「ほんとに悪いと思ってるのかしら、あの男」
雨の音
女 「どうでしたか?」
男 「やっぱり間違い電話でした」
女 「わたしも」
男 「それは災難でしたね。自分のこと棚にあげてますけど」
女 「それはそうですね」
ふたり、笑う。
男 「でもやな女だったなあ」
女 「え?」
男 「ちゃんと謝ってるのに、無茶苦茶怒鳴られましてね」
女 「わたしも、変な男でしたよ。口では謝ってるのに、なんか横柄で」
男 「こういうとき、人間性って出ますよね」
女 「はい。そうですね」
男 「でも、おかしいなあ。ちゃんと何度も確認したのになあ。番号」
女 「失礼ですが、仕事先かなにか」
男 「いや。プライベートで。ちょっと個人的に関係がこじれたところに」
女 「ああ、もしかしたら新手の居留守かもしれませんよ」
男 「というと?」
女 「友達か誰かにかわりに電話とってもらったりして」
男 「そんな面倒くさいことしますかね」
女 「いろんなひといるから」
男 「そうですね」
女 「もう一回かけてみたら? だって番号間違ってないんでしょ?」
男 「はい」
女 「じゃ、居留守かもしれないから、がんばって」
男 「はい。かけてみます」
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