ケイスケのメール

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配送先でいつもは明るい彼女の表情が暗かった。心配になって声を掛けたのがフミカとの馴れ初めだ。 両親を亡くして落ち込んでいたが元来彼女は可愛いくて優しい人だ。一緒に住むようになりプロポーズをした。 小さな結婚式を挙げようと決めた頃、親友だというエイコに紹介された。 ある時、エイコが俺の職場にやってきってフミカが陰で俺をばかにしていることや、エイコのことも恋人を奪って捨て、さらに見下しているくせに親友だと言ってバカにしていると言ってきた。最初はそんな話を信じなかったが、酒を飲んだ勢いで関係を持ってしまい、それからはずるずるとエイコの言葉を鵜呑みにしていった。 エイコがフミカを懲らしめようと結婚式の当日に失踪することに決めた。 結婚式の日、エイコと合流してエイコの実家に行った。会社を辞めて農家になるのもいいと思った。 しばらくは、農業を覚えることとエイコとの情事に溺れていた。 フミカの預金を下ろそうと思ったが印鑑が違うと言われ、今更俺が行くわけにはいかずエイコが取りに行ったがそれも使えなかった。 金を奪うことは叶わなかったが、性悪女を断罪しエイコと一緒になったことに満足したが、エイコは違った。 金が手に入らなかった事で俺をバカにするようになった。 1年ほど経ってエイコの両親に入籍を迫れ、役所に行くと俺はすでに既婚者になっていた。しかも、離婚届も受理してもらえない状況になっていて、フミカに対して猛烈に怒りを感じ携帯に電話をしたがその番号は使われていなかった。 慌てて、あのマンションに行ったがフミカはそこにはいなかった。 入籍についてはなんとかエイコと両親を宥めて3年ほど経ったある時、エイコと義母が信じがたい話しているのを聞いた。 フミカを悪者にして奪ったのに、まだ未練があるのかもしれない。という話だった。 エイコに問いただすと、バイト先で好きだった男がフミカに告白したことや、学歴を鼻にかけず純粋で人を悪く言わないことが全てが鼻についてフミカをどん底に落としてやりたかったのだと。 俺は、フミカと婚姻関係になっていること、離婚届が受理されないようになっていることを伝えて4年間のエイコとの生活を終わりにした。 東京に戻ってきたが、俺がしたことを考えるとフミカが俺との婚姻状態を望んでいるならそのままにしようと思った。ただ、フミカに会いに行く勇気が出ずに気がつくとさらに年月が経ち、ふとフリーメールの存在に気がついた。 普段使わないブラウザだったから気がつかなかったが、開いてみるとそこには毎月フミカからのメッセージが届いていた。 「今あなたはどこにいますか?」 短い一言でも、フミカと暮らした楽しい日々を思い出した。 フミカから最後だというメールが来た。 そこには俺が死亡したと書かれていた。 これがフミカが俺に下した罰なのだと思った。 そして、フミカからの最後のメールに初めて返信をした。 待ち合わせのファミレスに行くと、あの時よりも綺麗になったフミカとその隣には優しそうな男性が座っていた。
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