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二話
「外遊び着として、童水干を用意してはどうか」
私は提案してみた。
童水干とは、その名のとおり童用の水干のことである。この世界では、男童が三歳から五歳の端午の節句を迎えるまで身に纏う着衣とされている。上衣を袴の中へ入れられるので、動きやすいのが特徴だ。よって、汚れた際に女童の衣よりも手入れが楽ではなかろうか……と考えたのだ。
幼少のうちならば、身内しかいないこの空間で咎める方もいらっしゃるまい。さらに、活発な妹には、動きやすいと喜ばれるやもしれぬ。
「ありがとうございます、若様。早々に殿に伺いますわ」
妹付きの女房は乗り気になっていた。
しばらくして。
妹の支度と、雪の道と雪投げ用の足場ができたのは、ほぼ同時だった。
父上から、よし、と言われるやいなや。弟妹たちは階(庭から主邸へと掛けられた外階段)にて、雪ぐつ(藁で編んだ長靴型防寒靴)を従者に履かせてもらい、庭へと駆け出していった。
妹は今若丸たちと外で遊ぶのが好きらしい。貝合わせなどの屋内遊びは、天気の良くない日にするものと決めているようだ。
「童が元気なのは、良きことだ」
父上を始めとする大人の方々は、温かな眼差しで広間から見守っていらした。
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