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「おめでとー!!」  ピンクでガーリーでラブリーな空間で、に囲まれ祝福された。 「見せつけてくれちゃって! さっさと離婚しちゃえ!」  口とは裏腹に寿莉さんは優しく微笑む。いつの間にか時計は深夜0時を回り、入籍予定日になっていた。  紺のジャケット姿の私と白いワンピースの聡。これじゃどっちが花嫁か分からない。  でも、夫が伝説のナンバーワンだったなんて、妻として誇らしい気分だ。 「本番も、聡がウエディングドレス着ていいよ?」 「……香代子、それだけは勘弁して」  困り顔のハムちゃんもまた可愛い。にやけていると、スパークリングワインのしゅわしゅわ弾ける音が聞こえて、心が弾む。グラスを受け取れば、寿莉さんに微笑まれる。 「素敵な再会と、二人の結婚に乾杯っ!!」  入籍前夜、二十九歳最後の日。  こんな迎え方も悪くないとシャンパングラスを掲げ、大好きな人達と乾杯した。  了
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