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「さて、それで魔法の使い方は思い出せたはずだ。宿るって意味もな」
さっきまでわからなかったことが不思議と理解出来るようになっていた。
アルスがどういう生き物なのかも思い出すことが出来た。
「君は、僕の妖霊なのか?」
「ああ。さっきイグニスと魂の契約を結んだばかりだよ。俺の祈りの力があればその傷を癒してやれる。但し、契約を結んで魔法の使用権をイグニスに明け渡してるから、魔法を使うには宿主に命令してもらう必要がある」
イグニス、それが僕の名か。
言われてみればそんな名前だったかもしれない。
「早く指示を出してくれないか? 別に命令の文句はなんだっていいんだ」
「天使アルスよ、僕の傷を癒せ」
アルスは嬉しそうにニカと笑い、銀色の塵になって消えた。
内部から心地よい冷気が広がり、痛みを吸いとっていくのを感じた。
体が軽くなっていく。こんなにあっという間に治してしまうなんて、凄い力だ。
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