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そう何度も思いながら涙した。
彼女が妬ましいから思ったんじゃない。
全くの逆だ。彼女が可哀想だった。あまりに可哀想すぎた。
何一つ悪いことなんてしてないんだよ。
なぁ、神様?ちゃんと見ていてくれよ。
この世を創った貴方なら、もしもの世界だって作れるだろう?
僕は雨に打たれながら彼女を見下ろして思った。
「こう…くん」
彼女はいつも笑顔で過ごした。
誰よりも幸せそうに笑っていた。
「こうくん…」
彼女を見つめて固まる僕を彼女は陽だまりで溶かすように名を何度も呼んでくれている。
二人で雨に打たれて、彼女は行き倒れ、僕の膝を枕にして仰向けに寝転がる。
僕はそんな彼女を今見下ろしていた。
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