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最後の願い
「綾の願いを聞いてくれたこうくんは、とても今苦しそう」
「綾…それは…」
「綾が誑かした。こうくんは悪くないよ」
瞳を閉じたまま綾は僕の手に自分の手を重ねた。
「これ以上ね、こうくんを困らせたくないんだぁ……だから…」
綾はそう言って僕の唇に触れて言った。
「最期のお願い、頂戴」
ゆっくりと瞳をまた開いて目を合わせる綾に僕の心は締め付けられた。本当にそれはもう壊れそうなくらいに。
「綾…大好きだ…」
僕が綾に口付けをすると、綾の呼吸は止まっていた。
まるで自分が生を吸い取ったように。
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