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『今どこにいますか?』 付き合い始めたばかりの恋人から届いたメッセージに目を通す。 何か目印になるものがないかと思い、キョロキョロと辺りを見渡した。 『今は改札を出たところの、銀杏並木の辺りにいます』 ここの銀杏並木は、秋はとてもきれいな黄色に染まる。 冷たくなった手は、何度も文字を打ち損じた。手を擦り合わせて白い息を吹きかけ、ようやく文章になったものを送る。 『どうやら出る改札を間違えてしまったようです。すぐに向かいますので、待っていてください』 『ゆっくりで大丈夫です。気を付けて来てください』 『はい』 そこまでのやり取りを終えて、わたしはスマホの画面を閉じた。 けれどもすぐにバイブが鳴り、何かの通知を知らせた。慌てて通知を見てみると、特にどうでもいい内容のメールだった。再び画面を切って改札に視線を向ける。 冷たい風が吹き抜けて、わたしはマフラーを口元まで引き上げた。手袋をしてきた方がよかったかな。でも、スマホを打つのには邪魔なんだよね……。 手袋の代わりに、少し大きめのアウターの袖を引っ張って手を隠した。
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