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町の建物には、火の手が上がっており酷いありさまである。人々の叫び声や逃げ待とう声が響いてくる。血の臭いにむせ返りそうだ。
「私が見た小鬼は、二体だった。小鬼がこんな群れをなして一緒に行動しているなんて不自然だ」
鳳仙は、周りを見渡し警戒しながらキョウとユウゲンに告げた。
「確かに、おかしい鬼殺しなどしてもいないのになんでこんな事になっているんだ……」
キョウは、鞘から自分の愛剣を抜くと
ザンッ!
と、子供を襲おうとしていた小鬼を狩った。
「数がおおくてキリがない……」
ユウゲンが護符を懐から取り出すと、比較的広い庭のある場所へとそれをペタペタと投げ張りつけ町の人々を安全な結界内へと入れてやった。
ユウゲンは、町の人々に
「怪しい奴が来て鬼を殺したりしていれるのを見たものとか、あるいは怪しい奴を見た者はいるか?」
っと訊いた。
「人々は、皆首を横に振り知らないです」
っと、言ってきた。
「妙だな……」
鳳仙は、広い場である場所の屋根塀の上にキョウとユウゲンと立ち言った。
ヒュッ……
「鳳仙!? 危ねっ!」
ユウゲンがとっさに叫んだ!
鳳仙を囲むようにして突然何十体と数の小鬼が来て飛びかかったのだ。鳳仙は、そいつらの攻撃をさっと素早く抜け、オマケに全て足蹴にして吹き飛ばしたのである。
「!!」
キョウとユウゲンは、その光景に絶句した。
「俺、小鬼を足蹴にしている奴はじめて見た……」
ユウゲンは、呟いた。
キョウは
「やるなぁ鳳仙!」
っと、ちゃっかり言った。
「まぁな」
鳳仙もキョウに誉められまんざらでもない様子である。
「三人とも楽しそうね……」
いつの間にかセラが下に立っていた。
「セラッ!? 来るな!ってあれほど……」
鳳仙は、困った顔で言った。
セラは、
「だって、私だけ何もしないなんて、そんなのなんか嫌じゃない……」
っと、口をとんがらせて言った。
……「はぁ」
ユウゲンが、とりあえずセラを結界内に入れようと腕を引っ張っ……
ざっ!
なんの前触れもなく鬼がセラめがけて一斉に跳んだ!
『こいつら!』
ユウゲンは、セラを後ろにやると襲ってくる鬼を切り刻んでゆく。
バリバリ!
「俺の結界がっ!!」
ユウゲンの結界を破って入った鬼がセラの胴を掴もうとしたその時!
鳳仙が
ヒュッ!
パッ!
っとセラを右腕で抱え込み、左手で術を練りこんで吹き飛ばして壁に激突させてしまった。
「鳳仙っ!」
鳳仙は、右腕が少し鬼の爪でえぐられた。
「この! 馬鹿セラっ!! やっぱり狙われたじゃないか!」
鳳仙は、血のしたたっているのもお構い無しでセラに怒鳴った!
「だって……」
セラは、涙が瞳にためて
「みんなが、心配だった……」
っと、言った。
鳳仙は、セラをユウゲンに押しつけると
セラを襲った親玉の鬼に剣を突き刺し
「なぜこの娘を、襲った?」
っと、訊いた。
「俺は、天界のある奴に言われてやったまでのこと。貴様のことも知っているぞ。なぜこのような場所に……」
そこまで言ったところで鬼の身体に炎が上がった。
鳳仙は、その場から下がり。
その光景を眺め顔を歪ませた。
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