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それは夜も深まり、皆が寝しづまってからおこった。
ドンッ! ドンッ!
っというドアを叩く音でキョウは目覚めた。
「お前ら、起きろよ……」
キョウは、鳳仙とユウゲンが寝ている間をうまく抜け、ドアの前に立った。隙間からでは、ちょっと誰が来たのかわからない。
「どうした?」
急に、起きて来た鳳仙に声を後ろからかけられたキョウは叫びそうになった。
「お前……起きていたのか?」
キョウは、隣に立って
「あぁ。それより開けてみよう」
「わかった」
鳳仙がドアノブをまわす。
キョウは、何かあってはいけないので剣に手を一応かけて身構えた。
「たっ! 助けてくれ神様!」
急に、前に竹林で助けたじいさんがよろけて倒れこんできた!
「も~! うるさいなぁ~どうしたの?」
さすがのセラもユウゲンも起きてきて言った。
セラは、目をこすって残っていたロウソクに再び火をとぼし
「おじいさん?!」
っと、言って鳳仙の抱えているじいさんに駆けよった。
鳳仙が訊いた。
「どうした? じいさん……」
「突然、この前見かけた小鬼達が町にきて鬼殺しはどこだ! って訳がわからないことを叫びたらして村を襲ってきよって……村がひどいことに……」
じいさんは、そう一気に言うと気を失った。
鳳仙は、じいさんを軽々持ち上げ自分の布団に寝かせてやった。
『こいつ、嫌みな奴だが優しいとこあるんだな……』
ユウゲンは、そう思いながらじいさんの額に濡れタオルをおいてやった。
「鬼殺しって?」
鳳仙が訊いた。
「俺たちは、何もしてないし。小鬼達が勝手に勘違いしたか、はたまた誰かがわざと我々にめんどうを押しつけたか」
っと、キョウが応えた。
「後者じゃないことを願うわ」
セラは、そう言うと身支度を整え外に出ようとした。
「どこ行くの?」
鳳仙がセラの腕をつかみ言った。
「どこって町に決まってるでしょう」
「それは、ダメだ!」
鳳仙は、きっぱりと言った。
「お嬢……私も、彼の意見に賛成ですよ。俺たち三人が一緒に行ったとして、お嬢を守りぬけられる保証はないですからね」
キョウは、セラにきっぱりとそう言った。
「じゃあ、私はここに残って待ってるだけなの?」
セラは、ムッスリと顔をした。
「そうだ」
鳳仙は、いつものようにへらへらとしてみせ笑ってはくれなかった。それだけセラに危ない事をして欲しくないのだろう
ことが伝わる。
『悔しいが、良い男だなこいつ』
隣で黙って訊いていたキョウとユウゲンは、少しだが
鳳仙に気を許せるようになっていた。
「……わかった」
セラは、素直におじいさんの横に座った。
「行ってくる」
男三人は、外にでた。
キョウは、町へとすぐに出られる術式を展開した。
大地に浮かび上がった術式が
ポゥと光りその中に皆入ると姿を消した…………――。
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