錦の華

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今年も、そんな日々になるのだろうと思っていた矢先だった。そんな考えが殺されたのは。 いつも通りに、学食には行かず、屋上で弁当を食べようと思い階段を登って扉を開けた時だった。 柵の上に靴を脱いで、両手を広げバランスを取りながら歩いている女子生徒がいた。制服のリボンからして、三年生だと推測できた。 これは、注意をするべきだろうが俺はそんな優等生じゃない。 だから、違う場所を探そうと思い、開けたばかりの扉を閉めようとした。 「止めないの?」 閉めかけた手が止まった。 「…あたし、死ぬかもしれないのに。」 手元から顔をあげた。初めて目が合った。 黒翡翠みたいな大きめの目、茶色がかった髪。その顔は随分と整っていて、相当モテるんだろうなと思った。 数秒見つめ合って、先に逸らしたのはこっちだった。
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