0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
今年も、そんな日々になるのだろうと思っていた矢先だった。そんな考えが殺されたのは。
いつも通りに、学食には行かず、屋上で弁当を食べようと思い階段を登って扉を開けた時だった。
柵の上に靴を脱いで、両手を広げバランスを取りながら歩いている女子生徒がいた。制服のリボンからして、三年生だと推測できた。
これは、注意をするべきだろうが俺はそんな優等生じゃない。
だから、違う場所を探そうと思い、開けたばかりの扉を閉めようとした。
「止めないの?」
閉めかけた手が止まった。
「…あたし、死ぬかもしれないのに。」
手元から顔をあげた。初めて目が合った。
黒翡翠みたいな大きめの目、茶色がかった髪。その顔は随分と整っていて、相当モテるんだろうなと思った。
数秒見つめ合って、先に逸らしたのはこっちだった。
最初のコメントを投稿しよう!