第1話 魔法騎士団

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 魔法騎士団は15歳から25歳まで受験資格が与えられる。しかし、その年齢の間に1回しか受験はできない厳しい試験である。  試験の内容は外部に漏らすのは禁止であり、仮に外に漏らしたら相応の処罰を国から与えられるが、処罰の内容すら報告されていないので存在を消されるのではと噂されている。 「魔法騎士団に入りたいけど、推薦者が1名必要で署名と捺印が必要なんだよな。応募するのもハードルが高いや……」  全てのハードルが高い魔法騎士団。それでも応募者は後を絶たない。魔法が得意な人、国防の要として活躍したい人など国のために活躍をしたい人が多いからである。 「昨年は合格者0名なのか。今年は来月に受験があって、応募締め切りが今月末ね。あと10日しかないけど、推薦人がいないから応募できないんだけどさ」  溜息を吐き、モヤモヤとした気持ちを胸に秘めながら空を見上げて歩き始めるといつの間にか目的地である剣術道場に到着をした。  美桜と別れてから漠然とどう守るかを当時から考えていたので、とりあえず剣術を学ぼうと動いていた結果、剣術道場に通うことにした。 「まさか商店街の側に500年以上も続く剣術道場があったなんて知らなかったな。広い敷地があって門下生も多いし、よく入れてくれたものだよな」  袋に入れて肩から下げている木刀を見ながら道場に入っていく。  その道場とても歴史が長く日本にて有名な流派の一つである天明流を現在は7代目当主である前当主の息子が教えている。  出雲に関しては何故だが引退をした前当主が教えてくれているが、とても厳しいため辞めたいと心の端で考えてしまっている。 「辞めたいけど強くなるためだし、続けないとな!」  木製の身の丈以上の門の前で頷いていると、自然と扉が開いた。  そこには前当主である天竜源十郎が、白い髭を左手で触りながら右手で木刀を握っている姿が目に映った。以前は体格が良かったそうだが、現在は線が細い体に肩を超す白髪の長髪をしている。また、白い髭がとても目立ち、地域の子供達から髭仙人と呼ばれているとかいないとか。 「こ、こんばんわー。今日もお元気そうでよかった――」  言葉を言い終える前に木刀で斬りかかられてしまう。  源十郎の細腕から出ているとは思えないほどに力強い一撃を、素早く袋に入れたままの木刀で防ぐことができた。 「急に振るってこないで下さいよ!」 「戦闘では相手が攻撃をするとは言ってはくれないと、いつも言っているだろうに。剣士なら常に戦場にいる気持ちを持つのだ」  力を籠めて剣を押し込んでくるので、袋を左斜めに倒して木刀を取り出した。 「俺だって剣士としての自覚はあります! 覚悟をしてください!」  目の前で木刀を構える源十郎を見つつ、構える。  天明流は流れるような連続攻撃や、力強い一撃の攻撃が得意な流派である。また、魔法との親和性が高い型が多いので、排出した門下生達は流派と魔法を活かした道に進むことが多い。 「覚悟だと? よく言うようになったな。未だに恐れが瞳に現れているぞ」 「そ、そんなことないです!」  バレていた。  虚勢を張っていたのがすぐに分かってしまう。流石は前当主だ。それでも俺は多くを克服して強くならなければならない。あの子を探すために、出会った時に守れるようになっているために。
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