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「これお茶だよ! 飲める?」
お茶の入ったペットボトルを手渡してくれる。
何度か咳き込んでいるが、これぐらいなら飲めるのでありがたい。ペットボトルを受け取って一口飲むと、息を整えることができるようになった。
「ありがとう。おかげで助かったよ」
「いいの。私が助けたかっただけだから」
そう言い、地面に触れていたスカートを叩いた。紺色のセーラー服を着ている麗奈は、セーラー服の上からでも分かる女性的な体をしている。簡単言えば出てるところは出ている、スタイルが良い体をしている。
また、鼻筋が通っている綺麗な顔をしており、近所で有名な厳つい道場に舞い降りた天使と言われている。
「本当にこの爺さんの孫とは思えない顔だよな」
「似なくて良かったと思っているわ」
出雲の言葉に同調をした麗奈に、そんなことを言わないでくれと言いながら源十郎が抱き着こうとした。だが、麗奈に避けられてしまい地面に転んでしまう。
「抱き着かなくていいから。早く道場の中に入ってよ。また商店街の人達に迷惑をかけているわよ」
そう言われて周囲を見ると、目の前にあるカフェのマスターや商店街にいる買い物をしている人達が足を止めてみている姿がそこにあった。
「あ、い、いつもすみません!」
頭を下げて謝ると、楽しいものを見せてもらっているから平気だと言ってくれた。
「いつも申し訳ありません。ほら、二人とも行くわよ!」
出雲と源十郎は麗奈に服を掴まれて道場内に入っていく。さながら母親に怒られている子供のように見えるみたいで、商店街の人達が笑っている姿を出雲は掴まれながら見ていた。
「もう! 二人とも外で訓練をしないで! 恥ずかしいでしょ!」
道場内にある畳部屋で麗奈に説教をされてしまう。
正座をしているので次第に足が痺れるが、もし言ったら麗奈に怒られてしまうのが目に見えているので、我慢をするしかない。
「そうは言ってもなー。出雲を見ると燃え上がってしまってねえ……」
「お爺ちゃんは出雲君のペースに合わせないとダメよ。潰しちゃうわよ?」
「こいつはこれぐらいじゃ潰れないよ。目標があるみたいだからな」
横にいる源十郎が顔を向けてくる。
やっぱり魔法騎士団に入りたいことを知っているみたいだ。でも、俺なんかが入れるのかな。
顔を伏せていると、源十郎が推薦をしてやろうかと突然言ってきた。
急なことで混乱をしていると、魔法騎士団に入りたいんだろうと肩に手を置いて優しい口調で話しかけてくる。
「え!? 出雲君って魔法騎士団に入りたかったの!?」
「え、あ、そうだよ。魔法騎士団に入って守りたいんだ。それに昔に別れたある女の子に迎えに行くって約束をしたんだ。だから、俺は魔法騎士団に入らなきゃいけないんだ」
魔法騎士団に入らないといけないとの言葉を聞いた麗奈は、なぜだか俯いてしまう。どうして俯くのか分からない出雲は、麗奈に何て話しかければいいのか戸惑ってしまう。
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