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一か月後。
世界中に、勇者による魔王退治成功のニュースが駆け抜けた、
こんな辺鄙な村にも、国の使いがその日のうちにやってきて教えてくれた。
「良かった……」
世界が平和になったこと……ではない。
魔王討伐によって、各地の魔物は減り、必然的に冒険者の数も減るだろう。
そうなれば、薬草の需要も減り、私のお仕事も少しは楽になるだろう。
少なくとも、普段の四倍と言う無茶なノルマはなくなるはずだ。
私は、もう少しの辛抱だと、薬草に水やりをしていた。
「おっと、水の量が〇.二ミリリットル足りないわね」
この数か月で、私の薬草を育てる能力も、ずいぶん上がってしまった。
決して望んだものではなかったが、人生は長い。
いつか何かに使えるだろう。
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