私は今日も、薬草を育ててます。

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 魔王は退治された。  世界は平和になった。    勇者はその後、私たちの村にやってきて、一度見ただけの私のことが忘れられず、その場で私に求婚してきた……なんてことは当然なかった。  風の噂で、この国の第一王女と恋仲になり、近々婚姻が発表されると聞いた。  つまりは次期国王だ。    お隣のお兄さんは、向かいのお姉さんと交際を始めた。  ……少し、好きだったのに。    私にも隣の村の男から縁談話が来たのだが、この村の薬草を苦いと言いやがったので、お尻に思いっきり蹴りを入れてあげた。  そしたらますます惚れたと求婚された。  なんで?  薬草の需要は未だに低い。  それだけ怪我のない世界になったんだと考えれば、喜ばしいことだ。  村の薬草は全然売れなくなったけど  村の借金、まだまだ返し終わらないけれど。。  まあ、薬草団子はぼちぼち売れ始めたし、近々、薬草饅頭も商人に売ってもらう予定だ。  ゆっくりだが、前進はしている。
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