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さらに一か月後。
「収穫する薬草の数のノルマ、さらに倍じゃ!!」
「え!?」
村長の口から、私たち終了のお知らせが再び発せられる。
村の大人たちが顔を真っ青にする。
もちろん私もだ。
村長は、コホン、と咳ばらいを一つする。
「一か月前、勇者様が魔王退治に旅立ったのは知っておるな? それに感化され、各地の猛者たちもまた、魔王退治の旅にで始めた。これにより、旅のお供として薬草の需要が急増しているんじゃ。薬草の値段も高騰し、世は薬草バブルと言っても過言ではない。特に、我が村の薬草は、味もよく保存も効き、高品質な薬草として評判も高い。薬草を作れば作るだけ、金になる!」
ま、まさか……。
目がお金になっている村長は、腕を前にグッと伸ばし、親指を上にピンと立ててみせた。
「乗るしかないじゃろ? このビッグウェーブに」
地獄だ地獄だと思っていた今は、実は地獄の底ではなかったらしい。
地獄の底がポカンと抜けて、真の地獄が現れた。
私たちの地獄はこれからだ。
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