プロローグ:Mord

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プロローグ:Mord

 アイリアとエンゼルは、自室で一緒にテレビを見ていた。バラエティなどはやっておらず、ニュースばかりの時間帯。アナウンサーが淡々と原稿を読む様子が映し出される。  いつもはこのような番組は見ないのだが、番組表を見て気になる文字列があったので見ていたのだ。 『次のニュースです。「食べられたような変死体」がまた、新たに発見されました』  ルーシィに頼まれ調査している、奇妙な殺人事件のことを報じると予告されていたのだ。かなり詳しい情報が公開されており、新たに事件が起こる度に新情報が出てくる。  それをルーシィに伝える度に、魔女の仕業の可能性が高まったと、狂った笑みを浮かべられるのがお約束だった。  だが、今回ばかりは違うようだ。 「新情報、無いね」 「位置情報という新情報はあるわよ。それだけだけど。それじゃあまた、地図に書いていきましょ」  犯人は確実にこちらへと近付いているのは確かだ。しかし、それ以上にエンゼルは気になっているところがあった。 「もしこのパターンのままいくとしたら……ものすごーく、嫌な予感がするわね」 「嫌な予感?」 「ええ。私の実家は……えーと、ここね。地図に載るような家だったのね、私の家」  サラッととんでもないことを言っている。流石は元公爵家だっただけあり、注目される場所のようだ。 「あれ?これもしかしてかなり近くを通る?」 「そう。通り魔的犯行だったら危険かもしれないし、そうでなかったとしても、狙われるかもしれないわ。ちょうど明日から帰るように言われてるし、本気であたる」
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